比較の前提
7つの論点を、日本の比較制度案、必要な統計・行政データ、評価期間へ接続する。
ここまでの研究レビューは、無条件現金給付が持ち得る効果と、その条件依存性を示した。しかし、日本の全国恒久制度をそのまま再現した研究はない。結論は「導入すべき/すべきでない」の二択ではなく、次の比較が検証可能になるよう制度案とデータを整えることである。
到達点の整理
概ね一致
結果が分かれる
未検証
まだ分からないこと
次の5項目は、単独の実験で一度に解くものではない。まず匿名化した税・社会保険・給付データを接続して静学的な分配比較を作り、次に既存研究から妥当な行動反応の幅を設定し、最後に段階導入や無作為化が可能な部分を評価する。結果は平均値だけでなく、世帯類型、所得階層、地域、年齢ごとに示す必要がある。
- 税・社会保険・既存給付を含む世帯別の純受益と貧困率
- 給付側と負担側を合わせた労働、消費、物価、賃金への影響
- 個人単位給付と世帯単位制度を接続した家族内分配
- 高齢者、障害者、介護世帯、ひとり親など必要額が異なる層への影響
- 教育、健康、出生、資産形成、政治的支持の長期変化
この順序なら、価値判断を数値で覆い隠さず、数値で確かめられる争点を残せる。給付水準と財源を研究レビューの外へ追い出すのではなく、目的と前提を明示したうえで、効果研究、公的統計、制度シミュレーションがそれぞれ答えられる範囲を接続する。それが第2版の到達点であり、次の調査課題である。
収録58本の扱い
本レポートは、2026年8月11日時点の資料データベースNo.01〜58を対象とする。各資料を必ず本文で同じ重みで引用するのではなく、evidence-mapで各章への採用、保留、対象外を記録する。論文数を独立した実験数や賛否の票数として扱わない。
小括
日本で必要なのは給付額だけの議論ではなく、財源、既存制度、世帯別の純受益を一体で比較する検証基盤である。
この整理は対象資料と公的統計の範囲に基づく。制度条件が異なる研究を日本へ直接外挿せず、各リンク先の研究方法と限界を合わせて確認する必要がある。
