研究の背景
栄養教育、衛生、農業、貯蓄組合を束ねた支援と現金給付は、費用も成果の種類も違い比較が難しい。本研究は現金額を複数無作為化し、事後に確定した実施費用と同じ点へ補間することで、複合支援Gikuriroと無条件現金を比較した。
方法と対象
政府の貧困区分に入り、妊婦・授乳婦または5歳未満児がいる世帯を対象とした。248村をブロック無作為化し、基準時から13か月後に追跡した。
| 群 | 村数 | 1適格世帯当たり実効費用 |
|---|---|---|
| Gikuriro | 74 | 124.49ドル |
| 小口現金3群 | 各22 | 54、96、121ドル |
| 大口現金 | 34 | 517ドル |
| 対照 | 74 | 0 |
Gikuriroは栄養・衛生教育、野菜栽培、家畜、貯蓄貸付組合などで、適格世帯の80%が何らかに参加した。現金の受給率は81〜91%で、現金には子どもの栄養を促す案内が付いた。公開稿では大口群の平均移転額を517ドル、実際の1受給世帯当たりドナー費用を567ドルとし、未受給を含むITT用の1適格世帯当たり実効費用を517ドルとしている。主要成果は消費、食事多様性、貧血、子の身長・体重・上腕囲、土地以外の純資産である。世帯脱落は対照で約3.3%と低かったが、子の身体測定は処置群で脱落が少なかったため重み付けとLee境界を確認した。
結果
約124ドルでは子どもの中核成果は動かなかった
Gikuriroは消費、食事多様性、資産、子の身体指標、貧血を有意に変えなかった。身長年齢比と体重年齢比の95%信頼区間はそれぞれ約-0.03〜0.13、-0.04〜0.12だった。Gikuriroは貯蓄を109%増やしたが、衛生実践や健康知識への明確な効果はなかった。
平均費用90.28ドルの小口現金も主要成果を変えなかったが、債務を77%減らし、生産資産を26%、消費資産を35%増やした。事後費用124ドルへ補間すると、Gikuriroの消費は同費用現金より約19%低かった。同費用現金は債務73%減、生産資産30%増、消費資産40%増と推定された一方、Gikuriroは貯蓄で優位だった。
大口現金は幅広い家計成果を改善した
517ドルの大口現金は食事群数を0.55、対照平均4.77から12%増やした。生産資産は80%増、消費資産はほぼ倍増した。子の身長年齢比0.09標準偏差、体重年齢比0.07、上腕囲0.13改善し、発育阻害は6ポイント、消耗症は5ポイント減ったが、多くは10%水準または多重検定補正前の結果である。
子どもの死亡は約1ポイント、70%減と推定されたが、未加重件数は対照13/2,596、大口現金2/1,200と少なく、多重検定補正後の確証ではない。論文自身も小標本の死亡結果として慎重に扱う。
金額と期間が比較を左右した
現金費用が100ドル増えるごとに消費約5%、食事多様性9%、身長年齢比0.022標準偏差が増える線形推定だった。ただし小口3群が近接し、大口が一つだけなので非線形性の検出力は低い。Gikuriroの実施は追跡時点で8〜9か月にすぎず、地域能力への長期効果を捉えていない。
日本に当てはめるときの注意
最大の障害は、ルワンダの貧困母子向け栄養プログラムと一時金の比較で、現金一般の優位や日本の社会サービス代替を示す研究ではないことである。
- 約124ドルでは両方式の子ども成果がnullであり、「現金が栄養を改善した」という結論ではない
- 大口群と同費用の高強度Gikuriro群がなく、金額の違いと方式の違いを混同してはならない
- 13か月、特にGikuriro実施8〜9か月は身体発育や公共能力の評価には短い
- 現金には栄養案内が付き、地方行政の強い関与も使途選択へ影響した可能性がある
- USAID、DIV、Google.orgが資金提供し、CRS、GiveDirectly、IPAなどが協力した。公開PDFは2023年改訂稿、書誌は2024年査読版である
